甘口辛口

巨人軍の再建策

2006/8/5(土) 午後 3:41
新聞のスポーツ欄を開いたら、「巨人軍 屈辱の最下位」という見出しが踊っていた。巨人が8月以降で最下位になったのは、9年ぶりのことだそうである。巨人戦を中継するTVの視聴率も低迷をつづけ、最低視聴率を更新中だという。川上巨人軍時代を知っている私達には、到底信じられないような結果である。

巨人が弱くなったのは、子飼いの選手をのばそうとしないで、他チームから有力選手を引き抜いて来ることを続けたからだといわれる。成る程、今活躍している小久保や李承Yなどは移籍組の選手で、これに押されて子飼いの選手は出場のチャンスが与えられていないように見える。

私の感じでは、巨人軍不振の原因は、有力選手を他チームから引き抜いてくる癖に、監督や主力コーチを純血主義で固めていることにあるように思う。

巨人軍の天敵だった監督に三原脩がいる。一時期、巨人の監督だった三原脩は、巨人を解任されたのちに九州の田舎チーム西鉄ライオンズの監督になり、日本シリーズで巨人を何度も叩きのめしている。夫人の話によると、三原脩は就寝するために布団に入ってからも、チームを勝利させるためのプランを練り続け、思いつくことを大学ノートに書き付けているうちにノートの数が一シーズンで数十冊になったという。

三原脩に限らず、日本プロ野球史をいろどる「魔術師」と呼ばれる名監督達は、みんなこんな風にしてあらん限りの知恵を絞ったのだ。そして、相継いで燃え尽きていった。三原脩は、糖尿病になってから、「考える根気」が続かなくなった。すると途端にチームの成績が落ちて、彼は球界を去っていった。

西武ライオンズを率いた広岡達朗も、手練手管の限りを尽くした監督だった。日本シリーズの第一線を落としたとき、彼は落胆している選手を集めて「今後のゲームはこんな風に進行し、最後にうちが勝つ」と言って、一試合ごとの勝敗を予言して見せた。そして、シリーズは彼の予言通りに進んで優勝したので、選手達は唖然としたそうである。

その広岡も監督を辞める前には疲労困憊して、阪神との日本シリーズにはシロウトにも分かるような采配ミスを犯している。

巨人軍には川上哲治以後、こうしたたたき上げの監督が出ていない。純血主義の立場から、巨人出身者を監督にしてきたが、その巨人出身者はどれもこれも甘やかされて世の辛酸をなめていないのである。巨人軍は、あたかもパロマの経営陣のようなものなのだ。

巨人軍を再生させようとしたら、まず、野にある非巨人の人材を連れてきてトップに据えることだ、そしてナベツネ氏の口出しを封じることである。