甘口辛口

雅子妃と紀子妃(1)

2006/8/10(木) 午後 1:29

女性達の間で、雅子妃と紀子妃のそれぞれに応援団がついているような感じがある。
そして、雅子妃を応援する女性にはインテリが多く、紀子妃をヒイキする女性には皇室好きの、どちらかといえば「守旧派」の女性が多いような気がする。

インテリ女性が雅子妃をヒイキにするのは、慣例重視の皇室に放り込まれてしまった元キャリアウーマン小和田雅子に対する同情からだし、守旧派の女性が紀子妃に肩入れするのは、紀子妃がにこやかに皇族としてのつとめを果たしているからだろう。

しかし、原因はそれだけではない。
TVや新聞雑誌に登場する二人は、揃って何時でも笑顔を見せている。その笑顔は、いかにもステロタイプで、皇室女性に特有な無個性的な微笑のように見える。つまり、特定の相手に対する笑顔ではなく、万人向けの「笑顔のための笑顔」のように見える。だが、女性達は、同じように見える二人の笑顔のなかに、明確な違いを感じ取っているらしいのである。

インテリ女性は、雅子妃の笑顔のなかに努力の跡を読み取る。本質的にシャイな女性が、立場上笑顔を見せなければならないときに示す苦痛の表情を感じ取ってしまうのだ。マスコミは、雅子妃が皇居内で除草奉仕をする人々への「お手振り」や挨拶をしないと報じる。だが、世の中には、当意即妙に態度を転換できないナイーブな人間もいるのである。

紀子妃の方は、多分、子供の頃から「習慣な微笑」を身につけてきたから、笑顔を作ることに何の苦労もないに違いない。だが、反逆精神旺盛なインテリ女性からすると、習慣的な微笑を顔に貼り付け、しゃあしゃあと皇室に溶け込んでいる紀子妃の存在が腹立たしくなるのだ。内省力のある現代女性なら、美智子皇后のように、そして雅子妃のように、宮廷という非人間的な世界に反発するのが本当ではないか。

世の中には、顔に何時も微笑を浮かべている人々がいる。このタイプの人間は、周辺の人々と友好的な関係を保つために自身の個人感情を押し隠し、意識して世間に合わせた生き方をしている。紀子妃も、恐らく、実生活には不要な内省や疑問を切り捨て、周囲に合わせることを第一義にして行動してきたし、今もその立場で行動しているのではないか。だから、彼女は深みのない常識的な人間に見え、個性的な女性達から反感を持たれるのだ。
(つづく)