甘口辛口

売名女と仏頂面男(隠居の放談)

2007/8/28(火) 午後 4:49

<売名女と仏頂面男>

隠居─今日は、売名女と仏頂面男の話をしよう。誰のことだか、分かるかい?

熊─誰だってわかるさ。売名女は小池百合子で、仏頂面男は朝青龍のことだろう。しかし小池百合子の話は、もう古いぜ。彼女は大臣を辞めたんだからね。ご隠居は彼女のことを、花魁だといっていたじゃないか、力のありそうな男を次々に旦那にする女郎みてえな女だって。

隠居─いや、わしが言いたいのは、アメリカで米国に媚びるようなことを言う政治家は、帰国してから痛い目にあうということなんだ。敗戦後に外相になった重光 葵は、渡米したときに公園でアメリカ人の記者達にむかって、日本をリスにたとえたんだよ。

熊─リス?

隠居─アメリカの公園には、野生のリスがいて、市民が可愛がって餌をやっているそうだな。それを見て、彼はアメリカ人記者達に、「あのリスたちのように、日本を可愛がってほしい」といったんだ。アメリカ人記者は、この発言を黙殺したが、同席していた日本人記者は外相の発言を日本に打電した。すると、その記事を読んだ日本人はみんな腹を立ててしまったんだ。恥を知れといってね。

熊─そういえば、小泉前首相がプレスリーの真似をしたときにも、日本国内の評判は悪かったな。

隠居─あれは日本だけでなく、世界中のマスコミから物笑いのタネにされたからね。

熊─小池百合子も、アメリカ人記者の前で、私は日本のライスといわれているとか、ライス長官と自分は姉妹の関係にあるとか、さかんに自己PRに努めていたなあ。だが、アメリカのマスコミは、彼女の言葉を黙殺して、全然ニュースにならなかったそうだね。

隠居─そうなんだ。アメリカでは無視され、日本では軽蔑の的になったわけさ。彼女は、あれですっかり印象を悪くしたから、防衛次官の更迭問題が起きたとき、マスコミはこぞって小池百合子を叩いたんだ。何しろ、週刊文春も週刊新潮も、相談したように小池叩きの特集をトップ記事にしていたからね。

熊─おいらは本屋であの週刊誌を立ち読みしたが、目新しいことは何も書いてなかったよ。

隠居─昨日の新聞に「AERA」という週刊誌の広告が載っていた。これも小池百合子のことをトップ記事にしていたが、それによると、彼女の信条は、「人生はマーケッティング」ということなんだそうだ。それに彼女は、若い頃に結婚・離婚を体験しているらしいな。私は広告の短い説明を読んだだけだが、小池百合子のことが少し分かって来たような気がしたよ。

熊─「人生はマーケッティング」か。

隠居─彼女は、自分自身を売り込むセールスマンなんだな。これはと思う相手に、いかに自分を高く売り込むかを何時も考えている。だから、小沢一郎のそばにべったり張り付いて、ゴルフの相手をするかと思えば、家庭料理を作って小泉前首相のところに日参もする。やっていることがマーケッティングなんだから、他人が何といおうと恥ずかしいとは思わないわけさ。

熊─すると、結婚もマーケティングだったわけかい。

隠居─それは分からない。しかし、彼女には、隠されたもう一つの性格があることは事実らしいな。主張先のニューデリーで、「続投を希望しない」という記者会見をしたあと、彼女は独語するように、「私は辞めるって言ってるんだよ」と捨てぜりふを残して立ち去った。TVを見ていたら、その声には何となく尋常でない気配があって、小池百合子にはヤクザのようなところがあるなと思ったよ。これでは結婚生活が破綻するのもむりはない。

熊─小池百合子は、いづれ首相になると噂されていたんだがなあ。

隠居─それだよ。小池百合子に限らず、将来の首相といわれていた女性議員が、次々にぽしゃっていくのは何故だと思う?

熊─そういえば、野田聖子なんかも未来の首相と言われていたっけ・・・・

隠居─イギリスのサッチャー首相、アメリカの大統領候補のヒラリー、その他ヨーロッパの女性首相などと、日本の女性議員を比べると分かってくることがあるんだ。私は最近、感じるようになったのだが、欧米の著名な女性政治家はそれぞれ独自の政治路線を持っていてブレないんだな。例えば、サッチャーはウルトラ右派だし、ヒラリーはリベラルだ。彼女らは終始一貫自分の立場を変えないで来ている。ところが、日本の女性議員には定見がない。野田聖子は小泉の郵政改革に反対しながら、情勢が変わるとくるりと意見を変え、首相の軍門に下っている。あの変節で、彼女は首相候補の座から滑り落ちてしまったんだよ。

熊─変節という点じゃあ、小池百合子は記録保持者だからなあ。日本の女性議員は、強いものになびく習性があるんじゃないかな。

隠居─というより、目立ちたがりで、売名癖が強過ぎるんだ。閣僚の中で一人だけ8月15日に靖国神社に参拝した高市早苗なんかは、そのいい例だよ。

熊─それに比べたら、朝青龍はブレないじゃないか。イヤとなったら、てこでも動かない頑固さがあるぜ。

隠居─あれは初志を貫徹しているというより、ねじれた気持ちをこじらせた為、感情が硬化して動きが取れなくなっているんだ。彼はモンゴルから帰ってきたとき、まさに仏頂面の見本のような表情をしていたが、あの仏頂面がいまもずっと続いているのさ。

熊─モンゴルじゃ、朝青龍が仮病を使って帰国したことを報道していないらしいな。それで、相撲取りがサッカーをして何が悪いと反発しているそうじゃないか。

隠居─マスコミがナショナリズムをバックに報道をすると、そういうことになる。日本人は「邪悪な支那を懲らしめよ」と中国に兵を出して日中戦争を起こしたが、その発端は日本軍が中国国内で演習中にどこからともなく銃弾が飛んできたからだよ。軍隊を他国の領土に進出させて傍若無人に演習を行ったことに原因があるのに、日本人はそれを無視して射撃されたことだけを取り上げ、中国撃つべしと合唱したんだ。モンゴル人もそれと同じで、朝青龍の非を見ないで、相撲協会だけを非難している。こういうことは文化的な途上国には、ありがちなことだよ。

熊─すると、こっちは一方的に我慢していなきゃならんのかい。

隠居─朝青龍の感情も、モンゴル人の世論も、時間がたてば落ち着いて来るよ。まあ、それを辛抱強く待つことだね。我慢が足りずに暴発すると、イラクで泥沼に落ちたブッシュみたいになるからな。