甘口辛口

細木数子vs内舘牧子

2007/12/25(火) 午後 11:58
<細木数子 vs 内舘牧子>

細木数子の番組を久しぶりに見る気になった。新聞のテレビ欄に細木が小倉智昭と論争するらしいことが書いてあったからだ。新聞には、「小倉智昭と大激論!」と感嘆符号までつけた予告記事が載っていたのである

テレビをつけたら、細木数子が前に見たときより更にボルテージを上げて長広舌をふるっていた。驚いたことに、彼女は人々に向かって訓戒をたれるにあたって、次のような仰々しい口上からはじめるのだ。

「身命を賭けて、私の魂からいう――」

命を賭けて彼女が何をいうのかと思ったら、「朝青龍は男の中の男」だというのである。彼女は朝青龍をべた褒めにほめたあと、返す刀で朝青龍の偉大さを理解しない日本人とマスコミを馬鹿だといって切り捨てるのだ。

そして朝青龍礼賛の大演説の合間に、お得意の自己宣伝をはさむのを忘れない。「あの事件の最中に、朝青龍を蒙古に帰してやったのは私ですよ」と彼女は誇らしげにいうのである。ホントかね。

彼女の話があっちに飛んだり、こっちに飛んだりするのはいつものことだが、今回、細木数子はいきなりこんな事を言い出した。

「これから、私が朝青龍の魂に惚れた証拠を見せます」

何やら驚天動地の、ものすごい証拠を見せてくれそうな口ぶりだったから、何が始まるかと期待していたら、運び出されたのは力士が土俵入りの時につける前掛け(?)だったので、がっかりした。察するに、彼女はこれを朝青龍にプレゼントする積もりらしいのだ。結局、これも彼女の自己宣伝の一つだったのである。

ところで、小倉智昭はこの間どうしていたかというと、時々細木数子に同調する意見を述べるだけだった。これほど看板に偽りのある予告記事を見たことがない。「大激論」どころか、二人は朝青龍について仲良しこよしの内緒話をしているのである。

とにかく、これは何ともいかがわしい番組だった。そのいかがわしさは、放映の間に挿入される人工の笑声にも現れていた。予め録音しておいた笑い声を頻繁に流すものだから、視聴者にはすぐ加工した笑声だと分かるのである。

こんな番組に引っ張り出された小倉智昭もお気の毒なら、細木に叱咤されている司会者も気の毒千万だった。司会者は、うっかり朝青龍の故障している足について口を挟んだために、細木の逆鱗に触れて、まるでそこらのはな垂れ小僧でもあるかのように叱りとばされていたのだ。

この番組が放映された頃、別のチャンネルでは内舘牧子が辛辣な口調で朝青龍を非難していた。細木数子のものが朝青龍に対するべた惚れ発言だったとすると、こちらは朝青龍に対する完膚無きまでの全否定発言だった。

テレビ局が、細木数子と「大激論」をさせようとしたら、内舘牧子を連れてくることだ。二人ともあまり優しい顔をしている方ではないから、両者がガチンコ勝負をすれば、「世紀の怪獣大戦争」ということになるのではなかろうか。いや、これは失言だったかもしれない。