甘口辛口

泰葉の場合・三浦和義の場合

2008/2/25(月) 午後 10:01

(春風亭小朝)

<泰葉の場合・三浦和義の場合>

今日(2月25日)の報道番組・ワイドショウは、三浦和義に関する報道一色で塗りつぶされている。それらの番組は、いずれも「ロス疑惑」を回顧することから始めているので、番組を眺めていると当時の様々なことが思い出された。

当時、マスコミ各社は三浦容疑者の過去の非行を探り出していた。それによると、三浦の行動には、何かしら尋常でないものがあった。私の記憶に間違いがなければ、三浦和義は少年時代に何度か放火事件を起こしている。そのうちに、ただの放火では刺激が足りなくなったのか、放火をした後で、自ら消防署に通報するようになった。その結果彼は、「感心な少年」として新聞に取り上げられている。

やがて、彼が放火犯であることがばれて、留置場にぶち込まれることになる。ところが取り調べの合間に、三浦は署内で盗みをはたらいているのだ。非行少年は、逮捕されると借りてきた猫のようにおとなしくなって、ひたすら恭順の姿勢を示すのだが、三浦和義にはそんなところが少しもないのだ。この大胆さ、したたかさは、ちょっと類がない。

大人になった彼は、妻に多額の保険金をかけて殺人を計画する。
彼が女優に命じて妻の撲殺をはかったこと、そして別の人物に妻の殺害を依頼したことは裁判で明らかになっている。にもかかわらず、彼は口をぬぐって、自分は昔からずっと妻を愛していたと強弁する。

彼の泣き所は、犯罪を犯すだけでは満足できないことだった。自分が犯した罪を逆手にとって自分を世間に売りこみ、倒錯した快感を求めるのである。少年の頃、放火した後で消防署に通報して模範少年を演じたように、彼はロスでの事件の後で悲劇の夫を演じた。そして、妻を射った犯人を捜し出して殺してやると誓ったり、帰国後に妻を乗せたヘリコプターを発煙筒を振り回して誘導したりした。

──三浦和義問題に先立って、マスコミの話題をさらったものに春風亭小朝と泰葉の離婚問題があった。

泰葉の姉に海老名美どりというタレントがいて、この姉が一時マスコミで問題を起こしたことがある。この件が面白かったので、私は妹の問題にも興味を持ち、ことの成り行きを見守って来た。

姉の問題というのは、彼女が「発表したいことがあるので、集まってほしい」とマスコミ各社に電話したことから始まった。芸能記者たちが、海老名家に何か事件が起きたなと、おっとり刀で駆けつけると、彼女は、「今度、私の本が出ることになりました」と自著(推理小説)の宣伝をしたのだった。

私は、このあと母親と夫が記者たちに平謝りに謝っているのを覚えていたから、妹の泰葉が「爆笑離婚会見」をしたのを見て、この姉にしてこの妹ありと感心したのである。

だから、新聞のテレビ欄を見てロンドンハーツという番組に泰葉が登場するのを知って、早速これにチャンネルを合わせたのだ。格付け合戦のテーマは、「男が一緒に暮らしたくないと思う女は誰か」というようなものだった。この格付け合戦には、男性視聴者からの投票結果も発表される。

それによると、男性が選んだ「一緒に暮らしたくない女」のトップは、泰葉だったのだ。「爆笑離婚会見」がたたって、彼女は男から最も敬遠される女になってしまったのだ。

離婚会見で勝手気ままな女という印象を拡げてしまった泰葉は、こうした印象を打ち消すためか、「開運離婚」という本を出版した。美どり、泰葉の姉妹は、揃って文筆の才に恵まれているらしいのだ。その本によると、離婚の責任は、必ずしも泰葉だけにあるのではなく、むしろ小朝の側がより多く負わねばならないことになっているようなのだ。

春風亭小朝は仕事のためと称して、10日間もホテルに滞在していたことがある。泰葉がキスをしてとせがんでも応じず、優しい言葉を妻にかけることもなかった。一言でいえば、二人の間には夫婦としての日常がなかったと泰葉は言っているらしいのである。

形勢は逆転して小朝の旗色が悪くなった。そうした状況下で昨日、「メントレG」という番組で小朝夫婦は二人そろって会見に応じることになった。チャンネルを合わせてみたら、これはなかなか面白い番組だったのである。

小朝は自分の放蕩問題に火の粉の飛んでくることを警戒して、最初から多弁だった。そして、別れた妻の口を封じるため、結婚のいきさつを語り始めるのだ。二人は知り合ってから僅か三ヶ月で結婚したが、それは泰葉と海老名家の用意したワナにはまったためだというのである。

ある日、泰葉が母に会ってほしいというので出かけてみると、母親が、彼を二階に上げて「いいんですね?」と念を押した。何だかよく分からないままに、「はい」と答えて階下に降りてみたら、すでに結納の準備が整えられていて、小朝は否応なく泰葉と結婚する羽目になったというのだ。春風亭小朝にこんな具合に先手をとられて、泰葉の方は言葉を挟むことが出来なくなった──

小朝は、この日の対談を笑いのうちに収めることを計画し、その通りに会見を運んでいったのである。そういえば、離婚会見に泰葉の兄弟が出席したのも、会見を無事に納めようとした小朝の計らいだったという。なかなかどうして、春風亭小朝は、策士なのである。

三浦和義の運命以上に、小朝と泰葉の未来が気になるのである──