甘口辛口

暴走老人は

2014/12/22(月) 午後 4:58
 幼児化する暴走老人
 石原慎太郎氏は、自らを「暴走老人」と称していた。だが、引退声明前後の氏の発言をみると、暴走老人と言うより「暴走ボーヤ」という印象が強くなっている。
 氏は、これまで「シナと戦って勝つ」ことを願い、マスコミに対してもその趣旨のことを語ってきたと回顧している。
 思い返せば、愚老は小学生だったころ、それと同じようなことを願っていたのだった。愚老ばかりではない、あの頃の小学生はすべて軍国少年・軍国少女であり、日本軍が中国をやっつけ完全に攻め滅ぼすことを祈っていたのである。だが、小学校を卒業する前後になると、戦争を全面的に支持する生徒は減り始める。「国民総動員体制」が強化され、生徒たちも身に有形無形の圧力が加わってくることを感じ、楽しいことが次第に奪われていくことを実感し始めたからだ。
 そして戦争が本格化した青年前期頃には、戦時体制に批判的な層がかなり増え、学校に派遣されてきて軍事教練にあたる「配属将校」を軽侮する空気が濃くなった。幼児期から青年期に至るまで、こうした心理的な変化を体験してきた愚老からすると、「シナと戦って勝つ」ことなどを待望し、そのことを記者たちに公言してみせる石原氏が小学生のレベルにとどまっていると感じ取ってしまうのだ。そして、この石原発言を歓迎する右翼の若者たちも、また、小学生に見えてくるのである。
 先日、会田雄次と佐伯彰一の対談本を読んでいたら、会田が明治啓蒙主義の過ちについて語っていた。その罪は国粋主義を鼓吹したことにあったというのである。
 会田<あれでみんなうんざりしたんだ。もう、変なやつが神国、神国といいだしてね、・・・・>
 それから彼は、こうも言っている。
 会田<今、世界の中で一番憎たらしいのは、中国の子供ですって。こんな嫌なやつはないと。その次に憎たらしいのは、日本の子供だという説がある(笑)>
 愛国者や国粋主義者らのお国自慢式妄説を鵜呑みにして、他国民を軽蔑する子供ほど嫌らしいものはない。石原は政界を引退した後は、文化面で若手を育てる仕事に専念したいと語っている。どうか、前途有為な若者たちを夜郎自大の高慢ちきな馬鹿者にしてしまうことがないように自戒してもらいたい、そう切に思う次第だ。