<民主党は、なぜ女性に不人気か?>
民主党の支持者を調べてみると、ある特徴があるらしい。男性の51%が民主党を支持しているのに対し、女性は37%に過ぎないというのだ(朝日ニュースター「パック・イン・ジャーナル」)。男と女では、民主党に対する態度がかなり異なるのである。
男性の支持率51%という数字は、よくわかる。
先進国の中では、日本だけが長い間自民党の一党支配を許してきた。そのため、非自民の細川内閣が成立したときには、日本国内ばかりでなく、外国までが歓迎の声を上げたほどだった。
「一党支配がつづけば、政権は必ず腐敗する、故に、政権交代は民主国家にとっての必須条件である」
というのが、世界の常識なのだ。
日本の男性も、ようやく政権交代なくして民主国家はないという世界の常識を受け入れるようになったのである。それを示す数字が、「民主党支持51%」なのだ。
ところが、日本の女性はとなると、民主党に冷たい目を向けている。民主党に冷たいのは中高年女性だけで、若い世代は男性同様政権交代を期待しているのではと思うと、逆なのだ。20代の若い女性の民主党支持率は20%台でしかない。
民主党がなぜ女性に不人気かという問題について、座談会「パック・イン・ジャーナル」に出席していた女性評論家は、「原因は小沢代表にある」と指摘していた。女性は汚職に厳しい目を向けているから、今回の小沢が関与した西松事件を知って民主党に失望したというのである。
ところで、テレビに出てこの事件を論じる民主党議員を見ると、こぞって検察の片手落ちを非難している。長老議員の石井一をはじめ、若手の原口一博など、舌端火を吐く勢いで小沢一郎秘書逮捕の不当性を論難している。
確かに、検察のやり方は片手落ちである。けれども、こういう不公平を利用して自民党の一党支配が成り立っているのだから、今更泣き言をいっても始まらないのだ。企業が国会議員に献金するのは、その議員の力で便宜を図ってもらうためだから、一種のワイロである。だから、政治資金規正法はこうしたワイロ性の高い献金を根絶するために、企業による政治家へ献金を禁止したのだった。
そこで議員らは抜け道を考えた。政党や政党支部に対してなら、企業による献金もかまわないということにして、迂回献金のルートをこしらえたのだ。企業が政党に献金して、この金は某議員に渡してほしいと添え書きをつけておけば、目当ての議員に金はとどくのである。
今回、千葉県知事に当選した森田健作もこういうやり方で、企業からの献金を懐に入れている。彼は自分が管理している自民党支部に1億6000万円を献金させ、このうちの1億5000万円を自身に寄付するという形を取ったのだ。政権与党である自民党議員のほとんどすべてが、こういう手法で企業献金を手にしているのを適法行為だとして見逃しておいて、小沢一郎だけをねらい撃ちにしたのだから、野党議員が検察を攻撃するのは当然のことなのだ。
検察が時の政権の意を受けて動くのは、何時ものことだから驚くに当たらない。政府も与党も政権を維持するためなら、どんな汚い手でも使うものなのである。
だが、問題のポイントは、そんなところにあるのではない。小沢一郎に疑惑の目が向けられたのをきっかけに、忘れられていた小沢に関する悪い印象が多くの国民の頭によみがえってきたということなのだ。国民の相当数にとって、小沢は田中角栄や金丸信の薫陶を受けたダーティーな政治家なのである。ダーティー小沢、アグリー小沢というイメージは、特に女性の間で強い。私も小沢一郎には、いい印象を持っていない。このブログにも、小沢のことをこんな風に書いたことがある。
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隠居─そもそも、ヤツが自民党内で力をつけたのは、金丸信に忠勤を尽くしたからなんだ。田中角栄がロッキード事件でつまずいてから、その一の子分だった金丸信が代貸になって、権勢を振るうようになった。金丸というのは、哲学も何もない、まあ、ヤクザみたいな男でね、自分の役に立つ者だけを露骨に可愛がる。だから、ハマコーのような代議士も近づいてきて平身低頭して犬馬の労を尽くす。すると、金丸は彼を予算委員会の委員長にしてやっている。ハマコーは、すぐにボロを出して解職させられてしまうがね。
熊さん─あのハマコーもねえ。
隠居─金丸の周りには、おこぼれにあずかろうとしてロクでもない代議士たちが集まってきたが、その中で小沢一郎は出色の活躍を見せたんだ。小沢は、金丸の意志とあれば万難を排して実行につとめたんだよ。悪ガキの小沢は、同じ気質の金丸の気持ちが分かるんだ。小沢一郎のことを「剛腕」だというだろう。あれは、金丸の威光を背景に、彼が党内で無理なことでも強引に押し通したことから来ているんだ。
熊さん─彼が若くして、自民党の幹事長になったのも金丸のおかげなんだな。
隠居─幹事長になったら、図に乗ってとんでもないことをやりはじめた。党を代表して、総裁候補の資質を調べると称して、総裁の候補者を幹事長室に呼びつけて口頭試問をしたんだ。この時、呼びつけられた一人の宮沢喜一なんかは、自分の息子のような小沢に向かって、「大幹事長」などとお世辞を使っていたよ。
熊さん─しかし、その金丸信もリクルート事件で失脚したろう?
隠居─そうなんだ。後ろ盾を失った小沢への風当たりがきつくなってきたから、彼は自民党を飛び出して、反自民の諸勢力を糾合して新生党を作り、自民党から政権を奪取した。これは、世界中を驚かせる事件だったんだよ。日本という国は、自民党による一党支配国家で、政治的な後進国だと見られていたのに、政権交代が実現したんだからね。各国は揃って細川政権に好意的だったし、国内の評判もよかった。だから、うまくやっていけば、この時から二大政党対立時代がはじまったはずなんだ。それを、小沢一郎がぶっ壊してしまった。
熊さん─「壊し屋」の誕生だね。
隠居─後ろ盾の金丸を失った小沢は、「剛腕」を正当化するために原理・原則を掲げるようになった。彼は二大政党対立の時代を実現すべきだ、そのためには小選挙区制が必要だと言い出して、自民党と協力して小選挙区制を実現させたが、これもバカな話でね。新生党に集まった社会党などの中・小政党は中選挙区制のもとで伸びてきたのだから、小選挙区制に切り替えればこれらの政党が弱体化して、自民党が優位になるに決まっているんだ(以下については、http://blogs.yahoo.co.jp/kazenozizi3394/38413285.html 参照されたし)
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小沢に好意的な記者や評論家は、彼の野心を否定して小沢は政権交代を目指しているだけで私欲はないと弁護している。そして、最も効果的な時期に民主党代表を辞任するつもりでタイミングを計っているのだという。果たして、そうだろうか。
西松建設の献金事件が表沙汰になって民主党に逆風が吹き始めたとき、民主党の参議院議員と衆議院議員は別々に総会を開いている。参議院議員の会合では、小沢を批判する発言が一つもなかったから、小沢は機嫌がよかった。だが、衆議院議員の会合では小宮山議員ほか一名が小沢の代表辞任を求める発言をした。すると、僅か二名の発言に過ぎなかったにもかかわらず、小沢は不満だったらしく、表情を平静に保つためにかなり苦労していた。
小沢が党代表に留まりつづければ、民主党への票は次々に逃げて行くのである。それを承知で、小沢一郎は代表のポストを手放そうとしない。麻生太郎が自民党票を減らし続けながら、首相の椅子にしがみついているのと同じなのだ。
60,70の老齢になっても、なお地位に恋々としたり、金銭に執着するのは、人生の敗者のすることである。考えてみれば、報道機関のアンケート調査で、首相として誰がいいかと問われて、人生の敗者である麻生太郎と小沢一郎の名前が挙がるような国に住んでいる日本人は哀れである。