百歳以上生きるには
新聞を読んでいたら、百歳以上生きている老人についての記事が載っていた。面白いと思ったのは、男性長寿者と女性長寿者ではその人間的特徴が異なることだった。
女性百寿者:友だち付き合いが上手で、友人が多い。
一家を取り仕切り、子供・孫・曾孫の面倒を見て皆に慕われている
男性百寿者:ひょうひょうとしていて新しいことが大好き。
一匹狼のようなところもある
長生きする女性は、周囲にとけ込む「親和型」人間であるのに反し、長生きする男性はマイペースで行動する「単独型」人間が多いというのだ。
私の印象では、外的エネルギー・内的エネルギーを過大に消費したり、反対に障害物があってエネルギー行使を封じられていたりすると、短命に終わるように思う。エネルギーを過大に消費しても、過小に消費しても、具合が悪いらしいのである。
女性に長寿者が多いのは、彼女らが家事・育児という定常的な仕事を持ち、社会的にも家族や仲間と安定した人間関係を持っているからだ。つまり、女性はエネルギーを過不足なく安定的に投入する場を持っているのである。
男には、「エネルギーを安定的に投入する場」を持たないものが多い。職場に正規採用されても、そこには社員同士の業績や昇進をめぐる競争があり、一刻も心が休まらない。だから、どうしても女性に比べて短命になる。男性が長寿を目指すなら、同僚との競争関係の渦から抜け出て、一歩先を行くか、一歩退くかしなければならない。
新しいことが大好きというタイプや一匹狼的なタイプは、仲間より一歩先を行く型だし、マイペースでひょうひょうとしたタイプは、一歩退く型だ。この二つの型は、集団から距離を取り、自らの手で「エネルギーを過不足なく安定的に投入する場」を作り出すから、退職してからも孤独をかこつことがないのだ。
今や、日本は、「坂の上の雲」を目指して頂点を極め、成長戦略を改める時期に来ている。これからは、ゆっくり下降して平地にたどり着き、成長ゼロの社会体制を構築しなければならない。
この期に及んでも、まだ、「成長、成長」と呼号している政治家は、肥満児に向かって、もっと食え、もっと肥れ、とけしかけているようなものなのだ。われわれは、世界的な競争市場のなかにあって、男性百寿者のような行動様式をとるべきではなかろうか。