甘口辛口

北朝鮮は脅威か(2)

2006/8/4(金) 午後 4:18
工業力を中核とする国力で比較したら、日米戦争前の両国には大きな差があった。米国を象としたら、日本は野生馬程度の力しかなく、日本の軍部は奇襲攻撃で象の足を蹴飛ばしたら、米国の動きが鈍くなるだろうと観測して真珠湾攻撃に踏み切ったのだった。

だが、戦後日本の国力も上昇し、中型の象くらいになった。これに対して、今の北朝鮮はスピッツ並の力しかない。そのスピッツが日本にミサイル攻撃を仕掛けたら、安保条約で結ばれている二頭の象を敵にして戦うことになり、ミサイル・航空機による猛烈な報復攻撃を受けてしまう。

第一、北朝鮮には日本を攻撃する理由がないのだ。北朝鮮側には、日本を攻撃することのメリットなど皆無なのである。それどころか、下手に手を出せば日本への賠償請求権を永久に失うことになる。日本にある米軍基地を攻撃したらどうだろうか。米国から雨霰のミサイル攻撃を受け、北朝鮮は数日と持たずに地上から永遠に消滅してしまうだろう。

北朝鮮は、日米のどちらを攻撃しても、亡国の結果を招くことを知っている。金正日も馬鹿ではないから、自ら攻撃を仕掛けるような自殺的行動に出ることはないと、ここで断言してもいい。だが、彼が核を開発し、ミサイルを製造している理由は何だろうか。

抑止力としてなのである。
朝鮮戦争後、北朝鮮と米国は和解するに至らず、いまだに休戦状態にある。従って、一方が休戦条約を破棄すれば、簡単に戦争状態に復帰できる。クリントン大統領は、任期中に北朝鮮攻撃を決行しようとしたが、シミュレーションしたら韓国側の犠牲者が多数出るという結果が出たので中止したという史実があるのだ。

金正日は、米国が「言いがかりをつけて」自国を攻撃してくることを何よりも恐れている。これを防ぐためには、核兵器を持ち、米国が攻撃したら原爆で報復する体制を整えておくしか方法はないと考えているのだ。金正日と北朝鮮軍部は、もしイラクが原爆を持っていたら、米国が攻撃することはなかったろうと語っている。

日本が平和憲法を堅持している限り、北朝鮮が日本を攻撃することはない。だが、日本が先制攻撃論などを振りかざして、軍備増強に乗り出せば、被害妄想に襲われた北朝鮮がやけくそになって自殺的行動に出る恐れはあるのである。