反日ではなくて反安倍
安倍首相とその側近たちは、特定秘密保護法に対する世論の反撃がこれほど大きいとは思わなかったと、ぼやいているそうである。この法案に対する反対や批判は国外からも投げつけられている。そのうちで、成る程と思ったのは国際ペンによる批判だった。
国際ペンが表明したのは、必要もないのに,なぜ秘密保護の法案を通そうとするのかという簡にして要を得た批判だった。実際、その通りなのだ。これまで日本が秘密にしてきた情報が、外国に漏れたなどということは一度もなかったし、第一、戦争放棄を国是にしてきた日本には外に漏れて困るような秘密は原理的にあるはずがないのである。
諸外国が日本について懸念しているのは、わが国が原爆・水爆を開発するのではないかということだ。だが、日本の核兵器保持を最も恐れているのはアメリカだから、米国は神経質なまでに日本の核兵器開発に対する監視を続けている。だから、この面で日本が秘密を隠しているというようなことはあり得ない。従って日本には隠さなければならないような秘密は、過去においても現在においてもないのである。
では、不必要な秘密保護法案を強行採決までして通した安倍内閣の魂胆は何なのだろうか。
平和憲法を改悪して日本を戦争ができる国にするためなのだ。日本の軍備を増強して、アメリカが戦争を始めたときに、日本も参戦して米国に協力する段取りをスムースに進めるためなのである。このためには国民に秘密に事を運ばなければならない。だから秘密保護の法律を作る必要があるのだ。
とにかく、安倍首相のような人物に衆・参両院の多数を与えたことは、「キチガイに刃物」を持たせたようなものである。昨日の朝日新聞に高橋源一郎が痛烈な安倍内閣批判を行っていた、「愛を強いる支配──ここはDV国家なのか」という標題の時評である。
DV男は暴力で妻を支配しておいて、「オレを心から愛せ」とふんぞり返って命令する。
安倍内閣は、企業寄りの政策を次々に打ち出す反面、国民には冷酷な態度を見せている。そうしておいて、「国民は自国と郷土を愛さなければならぬ」と説教する。こんなイヤなDV男は何処にもいないのである。
韓国民に、どうして反日の姿勢を続けるのかと質問すると、自分たちは反日ではない、反安倍なのだと答えるという。彼らの方が,見るべきところを見ているではないか。